私達の研究室では、高分解能光電子分光を主な実験手段として、高温超伝導体に代表される強相関電子系や、スピントロニクス基盤物質であるトポロジカル絶縁体や、グラフェンなどの新機能性物質の電子構造とその物性発現機構の研究を進めています。これらの電子系で観測される特異な物性(超伝導、金属−絶縁体転移、電荷密度波等)は、そのフェルミ準位近傍の微細な電子構造に起因しています。角度分解光電子分光(Angle-Resolved PhotoEmission Spectroscopy: ARPES) は、固体のバンド構造を直接観測決定できる強力な実験手段で、近年目覚ましいエネルギー分解能の向上を達成しました。
   研究室では、世界最高水準の超高分解能光電子分光装置の建設・改良を行うと同時に、新機能性物質の特異な物性発現機構とその電子構造の関係を明らかにする研究を行っています。
   現在進めている具体的な研究は、以下のとおりです。

(1)トポロジカル絶縁体の電子構造と新規物性発現機構の解明
(2)グラフェンにおけるディラックコーン電子状態形成機構の解明
(3)銅および鉄系高温超伝導体の電子構造と超伝導発現機構の解明
(4)表面ラシュバ効果によるスピン分極電子状態発現機構の解明

   また現在、物質のスピンに依存した微細電子状態を高効率で測定可能な「新型スピン分解バルク敏感超高分解能光電子分光装置」の建設を行っています。さらに、国内外の放射光実験施設(米国ウイスコンシン放射光施設、SPring-8、高エネルギー加速器研究機構 Photon Factoryなど)に出張し、放射光を利用した共同利用実験も行っています。
   研究室の修士課程の卒業生は、研究室で学んだ技術や知識を活かして、幅広い分野で活躍しています。また博士修了者は、大学や国立研究所の研究職(教授、准教授、助教)として、さらに研究を展開させています。
   研究をやりたいという強い意欲のある人を歓迎します。
  
光電子固体物性研究室 教授 
佐藤 宇史