光電子分光による高温超伝導の研究(最近の主な成果)

電子-ホール対称性の発見

 これまで、正孔が超伝導の担い手になる場合と、電子が担う場合では超伝導機構が異なるのではないかという提案がなされていたが、最近の角度分解光電子分光の実験等により、どちらの場合でも基本的な超伝導機構が変わらない、いわゆる「電子ーホール対称性」が明らかになった。

電子型高温超伝導体NCCO の角度分解光電子スペクトルの強度プロット

NCCOの超伝導ギャップ対称性がd波であることを示す、EF近傍の角度分解光電子スペクトル




エネルギースケーリング則の発見

 高温超伝導体は、一般に単位格子の中のCuO2面の数を増やすことによってTcが上昇 する。これまで角度分解光電子分光で行われてきた物質の中で最も高いTcを持つ、三層系Bi系超伝導体(Tc=108K)の角度分解光電子分光を行い、単層系(Tc=20 K)、二層系 (Tc=90 K)と比較する事によって、超伝導や擬ギャップを司る重要なエネルギーが、 すべてTcにスケールしているという「エネルギースケーリング則」を見出した。

Bi2Sr2Ca2Cu3O10の角度分解光電子スペクトルの温度変化

CuO2面の数が異なるBi系高温超伝導体における、各エネルギーの比較